キッチンカー営業で必要なのは許可?届出?不要?|「移動販売」と分けて考える食品関係営業許可の整理

はじめに|「キッチンカー」という言葉が、判断を難しくしています

「キッチンカーを始めたいのですが、営業許可は必要ですか?」

この質問に対して一言で「必要です」「不要です」と答えることはできません。

理由は単純で「キッチンカー」という言葉が、実務上は非常に幅広く使われているからです。

  • 車両内で調理して提供するケース
  • 調理済みの食品を車で販売するだけのケース
  • イベントで飲食物を配るケース

これらは一見似ていますが食品衛生法上の扱いはまったく異なります。

この記事では、まず「何が食品関係営業許可の対象になるのか」を整理したうえで、キッチンカー営業に当てはめて考えていきます。


そもそも飲食店営業許可が必要になるのはどんな行為か

食品関係営業許可は「食品を販売するかどうか」ではなく食品をどのように扱っているか
に着目して判断されます。

実務上のポイントは次のとおりです。


許可が必要になる主な行為

次のような行為を行う場合原則として飲食店営業許可が必要になります。

  • 食品を調理する
  • 加熱・盛付・組み合わせなどを行う
  • その場で飲食できる形で提供する

例:

  • 店舗や車両内で調理した料理を提供する
  • その場で加熱・盛付して提供する

👉 「調理行為」があるかどうかが一つの判断軸です。


届出で足りる、または許可が不要となる主な行為

一方、次のようなケースでは飲食店営業許可が不要となることがあります。

  • 既に製造された食品を、そのまま販売する
  • 調理や加工を行わない
  • 密封された状態で販売する

例:

  • 製造許可を受けた工場で作られた菓子を販売する
  • ペットボトル飲料を未開封のまま販売する

この場合販売行為そのものは飲食店営業許可の対象ではありません。


「キッチンカー」と呼ばれる営業形態を整理する

ここから、いわゆる「キッチンカー」を実務上の視点で整理します。


ケース①|車両内で調理し、その場で提供する場合

  • 車両内に調理設備がある
  • 車両内で調理・加熱・盛付を行う
  • その場で提供する

この形態が実務上「キッチンカー(移動型飲食店)」と呼ばれるものです。

👉 この場合は 飲食店営業許可が必要 になります。

調理の場所が「固定店舗か、車両か」の違いであり許可の考え方自体は通常の飲食店と同じです。


ケース②|調理は別施設、車両では加熱・盛付のみ行う場合

  • 食品は別の場所で調理・製造している
  • 車両では再加熱や盛付のみ行う

このケースでは

  • どこで、どこまで調理しているか
  • 車両側で行う行為の内容

によって判断が分かれます。

👉 車両側で調理行為がある場合は、飲食店営業許可が必要になることがあります。

「最終的に食品を完成させている場所はどこか」が重要なポイントです。


ケース③|調理を行わず、製造済食品を販売する場合(移動販売)

  • 調理は一切行わない
  • 製造済食品を販売するだけ
  • 車両は販売場所として使っている

この場合は一般には「キッチンカー」と呼ばれることもありますが、実務上は「移動販売」として整理されます。

👉 原則として、飲食店営業許可は不要です(※製造場所側の許可・届出は別途必要)
なお、調理を行わず製造済食品を販売する場合であっても、販売する食品の種類や販売形態によっては、車両側について別途届出が必要となることがあります。例えば、他の施設で製造した弁当やそうざいを車両で販売する場合製造場所の許可とは別に、 販売形態に応じた届出を求められるケースがあります。この点については、事前に管轄保健所で確認しておくことが重要です。


キッチンカーでも、基本の考え方は同じです

ここまで見てきたとおり

  • 調理をしているか
  • どこで食品を完成させているか

という点で判断される仕組みは、固定店舗の飲食店と変わりません。
「キッチンカーだから特別」というよりも、食品をどう扱っているかが見られています。


まとめ|「キッチンカーかどうか」より「何をしているか」

キッチンカー営業では

  • 車両で調理しているのか
  • 調理済食品を販売しているだけなのか

によって必要な手続きが大きく変わります。

まずは自分の営業形態がどこに当てはまるのかを整理することが手続きの第一歩です。


📩 次の記事では「手続きの流れの違い」を解説します

次回の記事では

  • キッチンカーの場合、手続きの流れはどう違うのか
  • 事前相談までに何を整理すべきか

について通常の飲食店との違いに注目して解説します。

「自分のケースではどうなるのか分からない」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。