専任技術者の実務経験年数|何年必要か・どう計算するかを行政書士が解説

この記事はこんな方へ

「資格がないが、長年の経験で専任技術者になれるか確認したい」「実務経験が何年あれば許可申請できるか知りたい」という方に向けて、必要な実務経験年数と計算方法を解説します。


実務経験年数は「学歴」によって変わる

専任技術者の要件を実務経験で満たす場合、必要な年数は学歴によって異なります。

学歴必要な実務経験年数
指定学科の大学・高専・専門士・高度専門士卒業3年以上
指定学科の高校・専修学校(専門課程)卒業5年以上
学歴・資格なし(または指定学科以外)10年以上

多くの方が該当するのは「10年以上」のパターンです。資格も指定学科の卒業もない場合、許可を受けようとする業種に係る工事について10年以上の実務経験が必要です。


「指定学科」とは何か

指定学科とは、申請業種に対応した専門的な学科のことです。たとえば建築工事業であれば建築学科、土木工事業であれば土木工学科などが該当します。

指定学科は業種ごとに定められており、東京都の手引きに一覧が掲載されています。「工業高校の建築科を卒業した」「大学の土木工学部を卒業した」という場合は指定学科に該当する可能性があります。卒業証明書・成績証明書で確認できます。

💬 行政書士より: 「工業高校を出ているが指定学科かどうかわからない」という方が多いです。卒業した学科の名称が手引きの一覧と完全一致しなくても、実質的に同等の内容であれば認められる場合があります。判断に迷う場合はご相談ください。


実務経験の「計算方法」

実務経験の年数は、単純に「その業種の仕事をしていた期間」の合計ではありません。計算にはいくつかのルールがあります。

工期の合算で計算する 実務経験は、実際に工事に従事した工期(工事期間)の合算で計算します。「○年間その会社に在籍していた」という在籍期間ではなく、工事の工期ベースで積み上げます。

重複する工期は1つとして計算する 同じ期間に複数の工事に並行して従事していた場合、重複する期間は1回分として計算します。

申請業種に対応する工事のみカウントする 経験が複数の業種にまたがっている場合、申請する業種に対応する工事の期間のみが実務経験として認められます。

月単位で積み上げる 東京都の場合、実務経験は月単位で積み上げて計算します。10年=120か月分の工事書類が必要になります。

💬 行政書士より: 「体感的に10年以上やってきた」という方でも、書類で月単位に積み上げると足りないケースがあります。申請前に手元の書類を確認し、何か月分の証明ができるか把握しておくことをおすすめします。


複数業種を掛け持ちしていた場合の注意点

建設業の現場では、複数の業種の工事を並行して行っているケースが少なくありません。この場合の実務経験は重複してカウントできないのが原則です。

たとえば10年間、内装仕上工事と大工工事を並行して行っていた場合でも、その10年間は内装仕上工事業か大工工事業のどちらか1業種の実務経験としてしか認められません。2つの業種で同時に10年分の経験を積んだとはみなされないため、2業種の専任技術者になるには最低でも20年間の実務経験が必要になります。

ただし「複数業種に係る実務経験」という特例制度があります。たとえば大工工事業の場合、建設工事業と大工工事業を合計した実務経験が12年以上あり、そのうち大工工事業に係る実務経験が8年以上であれば、大工工事業の専任技術者になれる場合があります。対象業種と要件は国土交通省の公式資料で確認してください。


実務経験の証明に必要な書類

実務経験で専任技術者の要件を満たす場合、以下の書類が必要です。

経験を示す工事書類(以下のいずれか)

  • 工事請負契約書
  • 注文書および注文請書
  • 請求書+入金を確認できる通帳等の写し

東京都の場合、原則として1か月に1件の書類が必要です。10年(120か月)の証明なら120件以上になることがあります。

在籍期間・常勤性を示す書類

  • 健康保険被保険者証の写し(事業所名・資格取得年月日の記載があるもの)

実務経験証明書(様式第9号) 証明者(当時の雇用会社または本人)が署名・押印したもの。

→ 書類の詳しい準備方法は「実務経験証明の方法」で解説しています。


実務経験の証明が難しいケース

「10年以上の経験はあるが書類が揃わない」という状況への対処法は別記事で解説しています。

→「実務経験10年を証明できない場合」 →「前職の会社が証明してくれない場合


まとめ

専任技術者の実務経験年数は、指定学科卒業なら3〜5年、それ以外は10年が必要です。年数は在籍期間ではなく工期の合算で計算し、東京都では月単位で120か月分の書類が必要になります。まず手元の書類で何か月分の証明ができるか確認してから申請準備を始めることをおすすめします。


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