前職の会社が実務経験を証明してくれない場合はどうする?対処法を行政書士が解説

この記事はこんな方へ

「以前勤めていた会社での実務経験で専任技術者の要件を満たしたいが、会社が証明書への押印を断られた」「前の会社と連絡が取れない」という方に向けて、取り得る対処法を解説します。


なぜ前職の会社の証明が必要なのか

専任技術者の要件を実務経験で満たす場合、原則としてその期間に雇用していた会社(証明者)が実務経験証明書に署名・押印する必要があります。

証明者は「証明しようとする期間、被証明者が在職していた法人の代表者または個人の事業主」とされており(令和7年度版東京都手引き)、自分が勤めていた会社の現在の代表者に押印してもらうのが原則です。

しかし実際には、前職の会社が証明に応じてくれないケースが少なくありません。


証明を断られる主なパターン

パターン①|退職時のトラブルや関係悪化 円満退職でない場合、会社側が証明への協力を断るケースがあります。

パターン②|会社の方針・リスク回避 「証明書に押印することで責任が生じる」と考えて断る会社があります。また個人情報保護の観点から拒否するケースもあります。

パターン③|代表者が変わっていて当時を知らない 退職後に代表者が交代しており、当時の在籍状況を確認できないとして断られるケースがあります。

パターン④|会社自体が許可を持っていない 証明者となる会社が建設業許可を持っていない場合、書類の要件が増え、会社側が対応を嫌がるケースがあります。


対処法①|「正当な理由」として代替証明が認められる

手引きには、**「正当な理由により、通常の方法によることができない場合は、備考欄に理由を記入して、当該事実を証明できる他の者による証明を得ること」**と明記されています(令和7年度版東京都手引き)。

つまり、前職の会社の代表者が証明できない正当な理由がある場合、以下の代替者による証明が認められます。

代替証明者の例

  • 当時の取締役(自分以外の元役員)
  • 本人自身による自己証明(ただし証明の裏付けが必要)

自己証明の場合は、実務経験証明書の備考欄に「会社が証明に応じないため」などの理由を記入した上で、当時の在籍・工事実績を示す書類を自分で揃える必要があります。

💬 行政書士より: 「自己証明」はできる場合とできない場合があり、また自己証明の場合は裏付け書類の内容と整合性の確認が通常より厳格になります。自己証明で申請する前に、東京都建設業課の窓口に事前相談することを強くおすすめします。


対処法②|年金記録で在籍期間を証明する

前職の会社への在籍期間を客観的に示す方法として、年金被保険者記録照会回答票(日本年金機構が発行)を活用できる場合があります。

これにより「その会社にその期間在籍していた」という事実を第三者機関の記録で証明できます。ただし年金記録は在籍の証明にはなりますが、「その業種の工事に従事していた」という工事実績の証明は別途必要です。

年金記録+自己証明による工事実績の組み合わせで証明する方法については、申請前に窓口に相談することをおすすめします。


対処法③|当時の同僚・上司・取引先に協力を求める

当時の会社の取締役や上司が別の会社に移っている場合、その方に証明者として協力をお願いできる場合があります。

手引きでは「当時の取締役」が代替証明者として認められています。退職後も連絡を取れる元同僚・元上司がいる場合は、まず連絡を取ることも選択肢のひとつです。


対処法④|証明できる期間で別の方法を検討する

前職の証明が得られない場合でも、以下の方法で専任技術者の要件を満たせる可能性があります。

証明できる経験期間を組み合わせる 前職以外の期間(現職・個人事業主としての経験など)で証明できる工事書類が10年分揃う場合は、前職の証明を使わずに申請できます。

資格取得で要件を満たす 実務経験での証明が困難な場合、国家資格(施工管理技士・建築士など)の取得が最も確実な代替手段です。


前職の会社が廃業している場合

前職の会社がすでに廃業している場合は、No.39「実務経験10年を証明できない場合」の「パターンB・対処法③」で解説した方法が適用できます。廃業を証明する登記事項証明書(閉鎖事項証明書)の添付とともに、本人が証明者欄を記入することが認められています。

→「実務経験10年を証明できない場合


まとめ

前職の会社が証明に応じない場合でも、正当な理由がある場合は代替者(当時の取締役・本人)による自己証明が認められています。ただし手引きへの理由記入と裏付け書類が必要で、事前に窓口への相談が必要です。また年金記録の活用・他の期間の書類での証明・資格取得なども選択肢として検討できます。


実務経験の証明について相談したい方へ

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