建設業許可の実務経験証明|必要書類と手順を行政書士が解説
この記事はこんな方へ
「資格がないので実務経験で専任技術者の要件を証明したい」「実務経験証明書の書き方と必要な書類がわからない」という方に向けて、実務経験の証明方法を具体的に解説します。
実務経験証明が必要なケース
専任技術者の要件を「実務経験」で満たす場合、許可申請の際に実務経験証明書(様式第9号)を提出し、その経験を書類で裏付ける必要があります。
実務経験証明が必要になるのは、以下のいずれかのケースです。
- 資格を持たず、10年以上の実務経験で専任技術者の要件を満たす場合
- 指定学科を卒業し、3〜5年の実務経験で要件を満たす場合
資格保有者の場合は、資格証の写しの提出で足りるため、実務経験証明書は原則不要です。
実務経験証明書とは
実務経験証明書(様式第9号)は、国土交通省が定める書式で、誰がどの業種の工事についてどの期間実務経験を積んだかを記載する書類です。東京都への申請の場合は、東京都都市整備局が公開している書式を使用します。
記載する主な内容は以下のとおりです。
- 使用者(証明者)の会社名・代表者名
- 被証明者(実務経験を積んだ本人)の氏名
- 工事の種類(申請業種に対応する工事名)
- 工事期間・従事した立場(施工・監督など)
証明者は原則として、その期間に被証明者を雇用していた会社(または個人事業主本人)です。
証明書と合わせて必要な裏付け書類
実務経験証明書を提出するだけでは足りません。証明書の内容を裏付ける書類を合わせて提出する必要があります。
工事の実績を示す書類(以下のいずれか)
- 工事請負契約書
- 注文書および注文請書
- 請求書+入金が確認できる通帳等の写し
東京都の場合、請求書等で証明する際は原則として1か月に1件の書類が必要です。10年分の実務経験を証明する場合、書類の件数は120件以上になることもあります。
💬 行政書士より: 「10年分の書類を揃える」と聞いて驚かれる方が多いです。特に東京都は他県と比べて審査が厳格で、工事名・工事場所・工期・金額が明確でない書類は証明として認められないことがあります。書類の量だけでなく、内容の確認も重要です。
証明期間中の常勤を示す書類(以下のいずれか)
- 健康保険被保険者証の写し(事業所名と資格取得年月日の記載があるもの)
- その他常勤性を確認できる書類
証明者が建設業許可を受けていない場合
証明者(元の雇用会社など)が建設業許可を持っていない場合は、業種の内容が明確にわかる工事書類(期間通年分の原本)の提示が必要になります。許可業者による証明の場合は書類の要件が一部緩和されます。
実務経験の「期間」の計算方法
実務経験の期間は、工事に実際に従事していた期間(工期)の合算で計算します。単純に「○年間その会社に勤めていた」という在籍期間ではありません。
たとえば、1年間に工期が重複していない工事を複数こなしていた場合、それぞれの工期を合算します。ただし同時進行の工事は重複期間を除いて計算します。
また、複数の業種の実務経験が混在している場合(例:とび工事と内装工事の両方を経験)、申請する業種に対応する工事の経験期間のみを算入します。
💬 行政書士より: 実務経験の期間計算は、書類の日付を1件ずつ確認しながら積み上げていく作業です。「大体10年以上やってきた」という感覚はあっても、書類で裏付けると足りないケースもあります。申請前に一度、手元の書類を年単位で整理してみることをおすすめします。
自社での経験と他社での経験の違い
現在または過去に勤めた会社での経験を使う場合 証明者はその会社の代表者です。会社が現存している場合は代表者に証明書へ押印してもらいます。会社が廃業している場合は、代替の証明方法について許可行政庁に相談が必要です。
自社(個人事業主)としての経験を使う場合 個人事業主として自ら施工してきた経験は、本人が自身の実務経験を証明します。確定申告書(建設業の売上が確認できるもの)と工事の契約書・請求書等が必要です。
まとめ|書類の準備は早めに始める
実務経験の証明は、申請書類の中で最も準備に時間がかかる部分です。特に10年分の書類を揃える場合、古い書類を探し出し、内容を確認する作業だけで数週間かかることがあります。
「書類が揃わない」「前の会社が証明してくれない」という状況への対処法については「実務経験10年を証明できない場合」で解説しています。
実務経験の証明について相談したい方へ
「自分の経験が何年分証明できるか確認したい」「書類が揃うか不安」という方のご相談を承っています。手元の書類の状況をお聞きした上で、証明できる見通しをご案内します。
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