建設業許可の名義貸しのリスク|罰則と発覚の実態を行政書士が解説

この記事はこんな方へ

「経管や専任技術者の要件を満たせないが、知人の名前を借りて申請できないか」「名義貸しをすると実際にどうなるのか知りたい」という方に向けて、名義貸しのリスクと法的な位置づけを解説します。


名義貸しとは

建設業許可における名義貸しとは、実態としてその会社に常勤していない人物を、書類上だけ経営業務管理責任者(経管)や営業所技術者(専任技術者)として登録して許可を申請・維持する行為です。

具体的には以下のような行為が名義貸しに該当します。

  • 実際には別の会社に勤務している人の名前を、自社の経管・専任技術者として登録する
  • 形式だけ役員に就任してもらい、実際には経営に関与させない
  • 資格を持つ知人の名前を借りて専任技術者として登録し、実際には常勤させない
  • 許可を持っている会社名義で工事を受注し、実際には別の業者が施工する

これらはすべて建設業法上の虚偽申請に当たり、厳しく禁じられています(建設業法第47条・第22条)。


名義貸しの罰則|借りた側・貸した側の双方が対象

名義貸しが発覚した場合、名義を借りた側(建設業者)だけでなく、名義を貸した側(個人・会社)の双方が処罰の対象になります。

許可の取消し 不正の手段により許可を受けたことが判明した場合、建設業法第29条に基づき許可が即座に取り消されます。

5年間の許可取得不可 取消し後、5年間は本人も会社も新たに建設業許可を取得できません。事実上、5年間は500万円以上の工事を受注できなくなります。

刑事罰 建設業法第47条に基づき、名義を借りた側・貸した側の双方に対し、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があります。悪質な場合は拘禁刑と罰金が併科されます。また詐欺罪・公正証書原本不実記載罪などの刑法上の罪に問われる可能性もあります。

行政処分の公表 処分内容は国土交通省のネガティブ情報等検索サイトに掲載され、会社名・処分内容が一般公開されます。取引先・元請業者・金融機関が閲覧できる状態になります。

公共工事の指名停止 公共工事の入札に参加していた場合、指名停止処分(最長2年)が科されることがあります。

💬 行政書士より: 「名前を貸すだけだから」と軽く考えている方がいますが、名義を貸した側も刑事罰の対象です。「頼まれただけ」「報酬をもらっただけ」という言い訳は通用しません。名義を貸す側にとっても、自身の信用と資格に関わる重大なリスクです。


名義貸しはこうして発覚する

「バレなければいい」と思っている方もいるかもしれませんが、名義貸しが発覚するケースは想定より多くあります。

行政による立入検査 許可行政庁(東京都の場合は東京都建設業課)は、予告なしに営業所への立入検査を行う権限を持っています。検査官が訪問した際に、登録されている経管・専任技術者の席がない・出勤記録がない・本人が業務内容を把握していないといった状況が確認されると、名義貸しと認定される可能性があります。

通報 元従業員・取引先・競合他社からの通報によって発覚するケースも少なくありません。「あの会社には資格者がいないはずなのに許可を持っている」という情報は業界内で広まりやすく、行政への通報につながります。

取引先とのトラブル 工事上のトラブルや代金の不払いが訴訟に発展した際、調査の過程で名義貸しが発覚するケースがあります。

許可の更新・変更届の審査 更新申請や変更届の審査の際に、常勤性の確認が厳格に行われ、実態との乖離が発覚することがあります。


「グレーゾーン」に見えても名義貸しになるケース

名義貸しかどうかの判断に迷うケースがあります。以下のような状況は名義貸しと認定されるリスクがあります。

  • 週数日しか出勤しない人を専任技術者として登録している
  • 他社で社会保険に加入したまま、自社の経管として登録している
  • 退職した人間を書類上だけ役員のまま残して許可を維持している
  • 親族の名義を借りて形式的に役員にしているが、実態は本人が経営している

💬 行政書士より: 「これは名義貸しになるのかどうかわからない」という場合は、申請前に必ず確認することをおすすめします。「形式的には要件を満たしているはずだが、実態として常勤しているとは言えない」という状況は、審査で問題になる可能性があります。グレーな状況のまま申請することは避けてください。


名義貸し以外の合法的な選択肢

経管・専任技術者の要件を満たす人がいない場合、名義貸しに頼らない合法的な方法があります。

  • 要件を満たす人材を実際に採用・役員に迎える(実態を伴う常勤が必要)
  • 資格取得を目指して要件を満たすまで準備期間を設ける
  • 許可が不要な範囲(500万円未満)で営業を続けながら準備する

→ 詳しくは「経営業務管理責任者がいない場合」「専任技術者がいない場合」で解説しています。


まとめ

名義貸しは許可の取消し・5年間の許可取得不可・刑事罰(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)という重大なリスクを伴います。名義を借りた側だけでなく、貸した側も同様に処罰の対象です。「急いで許可が必要」という状況でも、名義貸しは事業の存続そのものを脅かす選択です。合法的な方法で要件を満たす方向でご相談ください。


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