建設業許可の知事許可と大臣許可の違い|どちらが必要か行政書士が解説

この記事はこんな方へ

「建設業許可に知事許可と大臣許可があると聞いたが、自分はどちらが必要かわからない」という方に向けて、2つの許可の違いと判断基準を解説します。


知事許可と大臣許可の違いは「営業所の所在地」

建設業許可は、営業所をどの都道府県に置くかによって、都道府県知事許可と国土交通大臣許可に分かれます。

都道府県知事許可国土交通大臣許可
対象1つの都道府県のみに営業所がある2つ以上の都道府県に営業所がある
申請先各都道府県の許可行政庁主たる営業所を管轄する地方整備局
手数料(新規)9万円登録免許税15万円
審査期間都道府県により異なる(東京都は25日・閉庁日除く)約3か月
工事の対象範囲全国どこでも施工可能全国どこでも施工可能

最後の行が重要なポイントです。知事許可であっても、工事を施工できる地域に制限はありません。「東京都知事許可だから東京の工事しか受けられない」というのは誤解です。


「営業所」とは何か

知事許可か大臣許可かを判断する上で、「営業所」の定義を正確に理解することが重要です。

建設業法上の営業所とは、請負契約の見積り・入札・契約締結などを行う実態のある事務所のことです。以下のものは営業所に該当しません。

  • 工事現場の作業員詰め所
  • 資材置き場
  • 単なる連絡事務所(契約権限を持たないもの)

たとえば、東京都に本社があり、神奈川県に資材置き場と現場監督が常駐する作業拠点がある場合でも、神奈川の拠点で請負契約を締結しないのであれば、営業所は東京都のみとなり知事許可で足ります。

💬 行政書士より: 「複数の都道府県で工事をしているから大臣許可が必要では?」と思う方が多いですが、判断基準は工事の場所ではなく、請負契約を行う営業所の場所です。東京の本社で契約を締結し、地方の現場で施工するだけであれば、知事許可で全国の工事を受注できます。


大臣許可が必要になるケース

大臣許可が必要になるのは、複数の都道府県に「実態のある営業所」を置く場合です。

具体的には以下のようなケースが該当します。

  • 東京都に本社があり、大阪府にも請負契約を行う支店がある
  • 埼玉県と千葉県の両方に、それぞれ営業権限を持つ事務所がある

規模が大きくなり、他の都道府県に支店を出して現地での契約締結も行うようになった段階で、大臣許可への切り替え(許可換え新規申請)が必要になります。


知事許可から大臣許可への切り替え(許可換え)

知事許可を取得した後に他の都道府県に営業所を設けた場合、大臣許可への「許可換え新規申請」が必要です。この手続きを怠ると、新しい営業所での建設業営業が無許可状態になります。

許可換えの際には改めて新規申請と同様の審査が行われ、大臣許可の新規申請手数料(登録免許税15万円)が必要です。


一般建設業と特定建設業との関係

知事許可・大臣許可は「営業所の所在地」による区分で、これとは別に「一般建設業・特定建設業」という区分があります。

区分内容
一般建設業下請への発注額が5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)
特定建設業元請として下請へ5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)を発注する場合

(令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正による数字)

知事許可でも特定建設業を取得することは可能です。大臣許可と特定建設業は別の概念であるため、混同しないよう注意が必要です。

💬 行政書士より: 「大臣許可の方が格上で、工事の規模が大きくなったら取得するもの」と誤解されているケースがあります。大臣許可は規模ではなく営業所の場所で決まります。中小事業者のほとんどは知事許可で、東京都内に営業所が1か所だけであれば東京都知事許可になります。


まとめ

知事許可か大臣許可かは、請負契約を行う営業所が何都道府県にあるかで決まります。工事を施工する地域は関係なく、知事許可でも全国の工事を受注できます。多くの中小事業者・一人親方は1つの都道府県の知事許可に該当します。


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