外国人の在留資格と採用できる職種の対応表|企業向けに行政書士が解説
はじめに
「この外国人を採用したいが、今の在留資格で働けるのか」 「どの在留資格であれば、うちの会社の仕事をしてもらえるのか」
外国人採用を検討している企業からよく受けるご相談です。
外国人が日本で働くためには、就こうとする仕事が在留資格の範囲内であることが必要です。在留資格の種類によって、できる仕事の範囲が異なります。
この記事では、企業が外国人を採用する際に知っておきたい主な在留資格と、採用できる職種の関係を行政書士が解説します。
就労できる在留資格の種類
外国人の在留資格は大きく「就労できるもの」「条件付きで就労できるもの」「就労できないもの」に分かれます。
就労できる在留資格(職種が限定される)
在留資格ごとに就ける仕事の範囲が決まっています。その範囲外の仕事はできません。
条件付きで就労できる在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、職種の制限なく日本人と同様に働くことができます。
就労できない在留資格
「留学」「家族滞在」などは、原則として就労できません。ただし「資格外活動許可」を得ることで、一定時間のアルバイトが認められます。
主な在留資格と採用できる職種の対応表
企業が外国人を正社員・契約社員として採用する場合に関係する主な在留資格をまとめました。
| 在留資格 | 対象となる主な職種 | 備考 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務(技人国) | エンジニア・営業・経理・通訳・マーケティングなど | 学歴と業務内容の関連性が必要 |
| 経営・管理 | 会社経営者・役員・店舗管理者など | 事業規模・事務所の要件あり |
| 企業内転勤 | 外国の関連会社からの転勤者 | 同一企業グループ内の転勤に限る |
| 高度専門職 | 高度な専門知識を持つ人材 | ポイント制。優遇措置あり |
| 特定技能 | 介護・建設・製造・外食など16分野 | 試験合格または技能実習2号修了が必要 |
| 技能 | 外国料理の調理師・スポーツ指導者など | 母国での実務経験が必要 |
| 教育 | 学校の教師・教員 | 教育機関への勤務に限る |
| 医療 | 医師・歯科医師・看護師など | 日本の国家資格が必要 |
| 永住者・定住者など | 職種制限なし | 日本人と同様に採用可能 |
企業が最もよく使う在留資格:技人国ビザ
オフィスワークを中心とする一般企業が外国人を採用する場合、多くは「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が対象になります。
技人国で採用できる職種の例
技術分野
- システムエンジニア・プログラマー
- 機械・電気・建築などの設計職
- 研究・開発職
人文知識分野
- 営業・販売企画
- 経理・財務・法務
- 人事・総務
- マーケティング・広報
国際業務分野
- 通訳・翻訳
- 語学を活かした営業・貿易業務
- 外国人向けサービスの企画・運営
技人国で採用できない職種の例
以下の業務は「単純労働」に該当するため、技人国ビザでは認められません。
- 工場のライン作業・仕分け・梱包
- コンビニ・スーパーのレジ業務
- 飲食店のホールスタッフ・調理補助
- 清掃・警備などの現場作業
ただし、職種名ではなく「実際の業務内容」で判断されます。「営業職」として採用しても、実態が配達や単純作業中心であれば認められません。
判断が難しいケースとその考え方
飲食業・小売業での採用
店舗運営に関わる管理職・企画職であれば技人国ビザが認められる場合があります。ただし、現場での調理・接客が主な業務の場合は対象外です。
たとえば、飲食チェーンの店舗マネージャーとして採用し、将来的に本部のエリアマネージャーを目指すキャリアパスがある場合は、認められることがあります。一方、入社後しばらくは現場でホールスタッフとして勤務させる場合は、業務内容の説明が重要になります。
ITサポート・ヘルプデスク
対応する内容が技術的な知識を要するものであれば、技人国ビザの対象になります。ただし、単純なオペレーション業務が中心の場合は判断が分かれます。
留学生の採用(文系専攻→IT職)
文系学部を卒業した留学生をエンジニアとして採用する場合、専攻と業務内容の関連性が問題になることがあります。この場合は業務内容の説明や、本人のスキルを丁寧に示す必要があります。
在留資格の確認方法
採用候補者がすでに日本に在留している場合は、在留カードで在留資格と在留期限を確認します。
確認すべき項目は以下の通りです。
- 在留資格の種類(「技術・人文知識・国際業務」「留学」など)
- 在留期限(採用・入社のタイミングと合っているか)
- 就労制限の有無(「就労不可」の記載がある場合は原則就労不可)
在留カードを確認せずに採用し、就労できない状態で働かせてしまうと、企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。必ず採用前に確認してください。
在留資格の変更が必要なケース
採用候補者の現在の在留資格が、採用予定の業務に対応していない場合は、在留資格の変更申請が必要です。
よくあるケースを紹介します。
留学→技人国ビザへの変更 卒業・内定後に在留資格を変更します。卒業前から申請の準備を進めることをおすすめします。
家族滞在→技人国ビザへの変更 配偶者の扶養から独立して就労する場合に必要です。学歴・業務内容の要件は通常の申請と同じです。
特定技能→技人国ビザへの変更 特定技能で現場職に就いていた方が、管理職・専門職に転換する場合などに必要です。
まとめ
外国人採用で押さえておくべきポイントは以下の通りです。
- 在留資格によって就ける仕事の範囲が決まっている
- 一般的なオフィスワークは「技人国ビザ」が対象
- 技人国ビザは学歴と業務内容の関連性が重要
- 採用前に在留カードで在留資格と在留期限を確認する
- 在留資格が合っていない場合は変更申請が必要
採用を決める前の早い段階で確認することで、採用後のトラブルを防ぐことができます。判断が難しいケースはお気軽にご相談ください。
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