一人親方と建設業許可|取得の要件と注意点を行政書士が解説

この記事はこんな方へ

「一人親方でも建設業許可は取れるのか」「従業員がいなくても許可申請できるか」という方に向けて、一人親方が許可を取得するための要件と、取得後の注意点を解説します。


一人親方でも建設業許可は取得できる

結論からいうと、一人親方(個人事業主)でも建設業許可を取得することは可能です。法人でなければ取得できないという規定はありません。

ただし、許可取得に必要な要件は法人と同じです。一人親方の場合、すべての要件を「自分一人」または「自分+支配人」で満たす必要があるため、法人に比べてハードルが高くなるケースがあります。


一人親方が許可取得で最もつまずく点|経管と専任技術者の兼任

建設業許可取得に必要な人的要件は、経営業務管理責任者(経管)と専任技術者(営業所技術者)の2つです。法人であれば別々の人が担うことができますが、一人親方の場合は自分一人で両方の要件を満たす必要があります。

同一人物が両方の要件を満たしていれば、経管と専任技術者を兼任することができます。つまり、一人親方本人が「5年以上の建設業経営経験(経管要件)」と「10年以上の実務経験または資格(専任技術者要件)」の両方を持っていれば、許可申請が可能です。

💬 行政書士より: 「自分が両方の要件を満たしているか確認したい」という相談が一番多いパターンです。特に実務経験を年数で証明する場合、経管は「経営者としての経験年数」、専任技術者は「工事に従事した実務経験年数」と性質が異なります。それぞれの要件を別々に確認することが重要です。


一人親方が経管になるための要件

個人事業主の場合、本人または支配人のうち1人が以下のいずれかを満たす必要があります。

最も一般的なパターン 建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有すること。個人事業主として5年以上建設業を営んでいた場合が該当します。

証明書類として、5年分の確定申告書(建設業の売上があること)と、5年分の工事請負契約書・注文書・請求書等が必要です。


一人親方が専任技術者になるための要件

専任技術者の要件は、以下の3パターンのいずれかで満たします。

  • 申請業種に対応した国家資格の保有(施工管理技士・建築士など)
  • 指定学科卒業+3〜5年の実務経験
  • 申請業種に係る10年以上の実務経験

資格がない場合でも、10年以上の実務経験があれば要件を満たせます。長年建設工事に携わってきた一人親方の方に多く当てはまります。


取得後の注意点|現場に出る場合の条件

一人親方が許可を取得すると、専任技術者と現場の主任技術者を兼務することになります。専任技術者は「営業所に常勤」が原則ですが、以下の条件をすべて満たせば現場に出ることが認められています。

  • 自社(自営業所)が契約した工事であること
  • 営業所と工事現場が近接しており、常時連絡が取れる体制にあること
  • 現場の専任が義務付けられていない工事であること(請負金額が一定額以下など)

現場への専任が義務付けられる大規模工事(公共工事など)では、専任技術者が現場を離れることができないため、事実上一人では対応できなくなります。受注する工事の規模と内容に注意が必要です。

💬 行政書士より: 「許可を取ったら大きな工事が受けられると思っていたが、一人では対応できない工事があると知った」というご相談があります。特に主任技術者の専任が必要な工事(請負金額3,500万円以上・建築一式7,000万円以上)は一人親方では対応が難しくなります。許可取得前に、受注したい工事の規模と要件を確認しておくことをおすすめします。


個人で取得するか、法人化してから取得するか

一人親方が許可取得を検討する際、個人のまま取得するか法人化してから取得するかという選択があります。

個人のまま取得するメリット 法人設立の費用・手間が不要。書類準備が法人より少なく済む場合がある。

個人のまま取得するデメリット 令和2年10月の建設業法改正により、個人から法人化する際に建設業許可の承継が可能になりました。ただし承継には手続きが必要で、条件もあります。また、個人事業主として許可を取得した後に死亡した場合、許可は相続されません(相続人が改めて申請することは可能)。

将来的に法人化を考えているのであれば、法人化のタイミングと許可取得のタイミングを合わせることも選択肢のひとつです。

→ 詳しくは「個人から法人化した場合の建設業許可」で解説しています。


まとめ

一人親方でも建設業許可の取得は可能です。ただし、経管と専任技術者の両方の要件を自分一人で満たす必要があり、証明書類の準備が法人より難しくなるケースがあります。取得後は現場に出る際の条件にも注意が必要です。

「自分の経歴で要件を満たせるか確認したい」という方は、経歴と保有書類をお聞きした上でご案内しますので、お気軽にご相談ください。


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